コロナ禍になってお酒を飲むのを完全にやめた。
元々飲めないタイプで、家でお酒を飲む習慣が全くない。母はアルコールアレルギーで兄も飲まない。そんな家系のせいか、一口で腹まで真っ赤になって頭痛がする。でもお酒の席とか居酒屋は大好きだから、飲みの席では1杯のシャンディーガフを2時間くらいかけて飲んでいた。みんなはわたしの10倍くらいのスピードで飲む。そして飲めば飲むほどピッチは上がる。だからわたしのグラスを見て
「ビールぬるくなってるよ!新しいの頼もうか?」
と気を使ってくれるけど、わたしはビールに冷たさを求めていない。おいしくて飲んでいるのではなく、できるだけみんなに合わせたくてテーブルに並べている。ちびちびと身体にアルコールをなじませ、もし頭痛がしなければもう一杯いこうかな、くらいの感覚。
というわけでコロナ禍になって外で飲む機会がめっきり減り、あっという間にわたしの飲み能力は0になった。
もういいよな。と思って1杯目から大好きなコーラを頼むことにした。氷がいっぱい入った居酒屋のコーラはめちゃくちゃおいしい。
気の知れた仲間はコーラでも何も言わない。だけど困るのが親睦会とか懇親会の類での「飲んで腹を割って話そうぜ」という風習だ。これは男性社会を痛感する瞬間でもある。飲んで欲しい気持ちもわかる。断り続ければ場の雰囲気も悪くなるし、飲めなくて本当に申し訳ないと思っている。だけど「飲んで腹割りましょうよ」は飲める人の考え方。
飲めない立場の考えはこうだ。お酒の力を借りて本音を発言することなどできない。なぜなら思考が著しく低下するからだ。まず体調が悪い。何でも隠さずに話せるフルオープンフレンズの前でもコーラなのだ。本音を言えるかどうかはお酒の有無ではない。
少し前に、お酒の席でとても嫌なことがあった。店内にいた99%が何軒かハシゴしているような状況で、全力でTOO SHY SHY BOYを歌い終えた際、見ず知らずの男性が抱きついてキスをしようとしてきた。顔面0距離。とっさに井上尚弥ばりのスリッピングアウェーでかわした。終電が迫っていたおかげで、歌い終えてすぐ逃げるように店を出た。
お酒を飲んでいたら「うえ~い」とか言ってノリで受け入れられるのだろうか?カレシやオットが同席していたら飛び出して守ってくれたのだろうか?酔って運転するのは犯罪なのに、酔っていたからって許されるセクハラがあっていいわけ?
あらゆる角度でものすごく傷ついて、その日のいい思い出が一瞬にして消され、今でも憂鬱な記憶としてこびりつく。
あの日、頑なにお酒を飲まなくてシラケさせてしまったかもしれないけど、最後まで飲まない選択を通したことは正解だった。それだけは確かだ。
シラフでなければあの速さでのスリッピングアウェーまじ無理。