「あのさ〜、怖そうな人がちょっといいことすると凄くいい人に見えるじゃん?でもさ、優しそうな人の怖い噂とか少しでも聞くとさ、めちゃめちゃ悪い人に見えるじゃん?」
とっちゃんはたまにいいことを言う。
なんでも、とっちゃんがカラオケでよく歌う、日本人の三分の一は知っていそうなおじさん大御所歌手の、良くない噂を聞いてショックを受けたらしい。
「だからさ、俺、怖そうな人と優しそうな人のどっちで行こうか本気で迷ってるんだけど、どう思う?」
いつどこで発揮するつもりなのかは知らないが、今後のキャラ設定を考えているらしく、大まじめに聞いてきた。
確かに、清純派で多くの人に愛されていた女優の不倫がバレたとたんに、総バッシングされるような世の中だ。一度そんなふうになってしまったら、簡単にハイ元通り、なんてことにはならない。そんなリスクを考えたら、どちらかと言えばワルに寄っていた方がいいのかもしれない。
「とっちゃん的にはどっちで行きたいと思ってるんですか?」
「いや〜決めきれないんだけど、フミヤみたいな感じィ?」
ちょうど良すぎの正解。反復横跳びでいうところの真ん中の線です。