「あのさ、クランて知ってる?」
「え?草刈正雄の娘?」
という会話から始まる会議は最高だった。
これからのビジネスは若い世代(Z世代というらしい)にウケないと成り立たないという。じゃあ、我々おじさんたちはどうしたらいいんだ。おじさんはもうお役御免なのだろうか。この先、何を楽しみに、どうやって飯を食えばいいのか悩ましい。
若い頃、特に働く時間に比例して賃金を得ていた頃は、やりたいことや手に入れたいものがいくらでもあった。あのスニーカー欲しいなぁ。あの洋服欲しいなぁ。あのレコード欲しいなぁ。無理をしてでも欲しいものが次々と出てくる。
だから毎日10時間近くバイトしたけれど、手元に残ったものはどういうわけか未払いの請求書ばかり。そのうえやりたいこともなかなかうまくいかず、お金がないから諦めざるを得ないことが沢山あって、身ばかりが削られていった。
20年前、睡眠と引き換えにしても手に入れたかった物を、今は買おうと思えばいつでも買えてしまう。それは金持ちになったという意味ではなくて、それなりに人生経験を積んだから、光熱費にも困るような生き方をしなくなったということなのだろう。
まあそんな感じである程度欲しい物をコントロールできるようになったおじさんは、青春時代に手が届かなかったゲームやレコードなんかを手に入れて、実は密かにめっちゃ青春しているわけだけど、物以上に渇望するものがある。それは「楽しいこと」だ。
今、自分が始めた事業のタネに「楽しそうだから」と言って手を貸してくれる人がいて、パーティーを組めることが本当に嬉しい。そしてそれぞれの経験値を合わせて道を探っていくのがマジでドラクエみたいでわくわくしている。
「クランといえば草刈正雄」で始まった会議は最終的に、「この業界に風穴を開けたいよね」「アジアを一気に攻めようぜ」という言葉が出た。
ぼくらは本気でそう思っている。青春を取り戻しているのではない。青春は続いているのだ。