真冬のキャンプのお誘いをいただいた。わたしにとってほとんど初めてのキャンプだ。というのも、2,3歳頃まではキャンプ好きの父がよくテントを持って山へ連れて行ってくれたのだが、両親が離婚して以来、キャンプとは無縁になったからだ。
そのためかキャンプは「家族のもの」というイメージがあった。友達が「今度一緒に行こうよ」と言ってくれても、自分がキャンプに参加するイメージがもてなかった。
今回は、キケンなほどに寒い時期だから大人だけで行くという。それならわたしにも参加する資格があるかも、と思い、歯医者の予約をキャンセルし、急いでダウンを買いに行った。
真冬は水道を出しっぱなしにしないと凍ってしまう地域で育ったのに、今となっては防寒アイテムをひとつも持っていない。東京の冬は、ユニクロの極暖を着たら暑いくらいだ。わたしはいつの間にか、すっかりシティーガールになっていたのだ。
ダウンとブーツを購入すると軽く7万円ほどかかった。今回わたしは身一つで参加させてもらうのだが、テントや寝袋やその他の道具を一通り揃えたらかなりお金がかかる。キャンプって、わりとセレブな遊びだなと思った。
キャンプ場近くのスーパーでみんなと待ち合わせをした。富士山がすぐそこに見える駐車場は都内とは段違いの寒さで、ダウンを着ていても「寒っ」と言ってしまうほどだった。
ベテランキャンパーのとっちゃんは寝坊して1時間以上遅刻して登場した。慌てて家を出たので、みんなの分の湯たんぽ、お酒、コーヒー豆などをごっそり忘れて来たらしい。「すいません、6時に起きたんだけど」をひゃっかいくらい言っていた。
そんなことよりも、車から降りて来たとっちゃんがロンTとGパンにクロックスなのが気になった。「寒くないんですか?」と尋ねると、「中にヒートテック着てるから」と答えた。その時わたしは極暖の上にロンTとダウンを着て、極暖タイツに裏起毛の防風パンツ、綿入りブーツを履いていた。
キャンプ場に着くと寒さは一層増した。最低気温は-8℃と黒板に書いてあった。寒いだけあって他に客がなく、美しい湖畔がわたし達だけのものだった。贅沢…これは7万するわな、とシティーガールは思った。
ベテランキャンパーのとっちゃんはテキパキとテントの設営に取り掛かった。ロンT・Gパンのままだったが、さすがに手がかじかむようで、手袋をはめていた。「寒くないんですか?」と聞けば必ず「中にヒートテック着てるから」と返って来た。
テントを設営する男性陣はカッコよかった。サバイバル能力の高い異性の方がいいな、とシティーガールは思った。
わたしがフラフラ湖畔を散歩している間にテントが3つも建てられ、キッチンスペースや焚火スペースもできていた。そして、これまたいつの間にか振舞われるスンドゥブ!こんなん家でも出てこないのに外で出るぅ?と感動。夢中でフーフーして食べた。

熱々のスンドゥブ。

スンドゥブを食べるわたし
夢中すぎて


くちびるが富永一朗実写版。
とっちゃんは時々「世界一あったかい」というフリースを着る以外、ずっとロンTだった。わたしはダウンの中にフリースを足したり、ダウンの上にベンチコートを羽織ったりしてなんとか寒さをしのいだ。
夜はさらに冷え込んで、夜が明けてテントの外に出たら笑っちゃうくらいに何もかも凍っていた。みんな寒くて寝られなかったのに、とっちゃんだけは日が高くなるまで寝ていて、「暑くてGパン脱いだ」と言っていた。
キャンプはいい。家族じゃなくてもいい。ひとりで行って、焚火してコーヒー淹れてワッフルとか焼いて、本を読んでみたい。
時間とお金をかけ、自然の中で不便サイコー!と思うのは、普段それとはかけ離れたことろにいるおかげかもしれない。だから明日も薄汚れた空気の中で精一杯働こうじゃないか、とシティーガールは思った。