防災関連の展示会でのこと。
大豆由来の洗浄成分で、身体から歯までなんでも拭けちゃうウエットティッシュというのがあった。お肌に優しいのに油性マジックの汚れも落とすらしい。水が出ない環境ではかなり役立ちそうなアイテムだが、普通のウエットティッシュの倍以上の値段だ。
防災用品だから、できれば使う機会がない方がいい。そのためか、どの企業も「買ってください!」というような必死さはなく、静かに商品を紹介していた。このウエットテッシュの会社に関しては「内閣府からの要請で出店しています」ということだった。
うーん、確かにウエットティッシュは必需品だよな。でも、百均で買ったやつでもいいような・・。と思って通り過ぎようとしたその時、サンプルをばんばん配っていたお偉いさんぽいオジサンがこう言った。
「IKKOさんはこれで顔を拭いてます」
半径2メートル圏内の人が全員が立ち止まった。
IKKOさんが本当に使っているかどうかはわからない。冷静に考えれば、IKKOさんほどの美容家が日頃からティッシュのようなものでお肌に摩擦を加えるというのは疑わしい。でもこの瞬間に「IKKOさんはこれで顔を拭いている」を超える劇的パンチラインが他にあっただろうか。
「みちょぱはこれで顔を拭いてます」でも「マツコさんはこれで顔を拭いてます」でもダメ。アンミカさんでもまだ弱い。インスタグラムフォロワー世界一のクリスチアーノロナウドでも、YouTubeチャンネル登録者数6000万人のジャスティンビーバーでもダメ。確実にIKKOさんでなくてはいけなかったのだ。
今ここにIKKOさんはいない。だけど、いつか見たIKKOさん、IKKOさんのモノマネをする人、私たちの脳内に住みつくあらゆるIKKOさんの残像が、足を止めさせたに違いない。
インスタグラムを開かなくても、YouTubeを開かなくても、まるでホログラムのようにIKKOさんが現れる。私たちはいつの間にか脳内にIKKOを組み込まれてしまったのだ。思い返せばいつからか「まぼろしぃ〜」というフラグが立っていたではないか。
恐るべしIKKOマーケティング。これはIKKOの戦略か?電通の仕業か?それとも国家的・・・
なんつって。ヒェ。
都市伝説ってこうやってつくられていくのかもしれないよね。